何となく絵画話。アンドリュー・ワイエス作「クリスティーナの世界」(1948)。ワイエスはアメリカ・メイン州で近隣に住むクリスティーナ・オルソンという女性を描きました(部分的には妻がモデル)。彼女は下半身麻痺のため歩けませんが(車椅子を拒んだとも)、同作を所蔵するニューヨーク近代美術館(MoMA)のサイトには、彼女が畑を這い回ってブルーベリーを摘む姿にワイエスが感銘を受けて描こうと思った旨が、学芸員により解説されています。
“One day he looked out the window and saw her crawling across a field picking blueberries, and he was inspired to paint the scene he was seeing”
https://www.moma.org/audio/playlist/172/2279
ワイエスは「彼女の世界は物理的には制限されているかもしれないが、精神的には決して制限されていないかもしれないと視聴者に理解させるため、少しでもペイントでできたなら、私は自分がやろうとしていたことを達成しました(If in some small way I have been able in paint to make the viewer sense that her world may be limited physically but by no means spiritually)」と、述べています。
同作は家族の墓に這って参り、自宅(オルソンハウス)に向かう姿とも。論拠がわかりませんが、日常的には墓参もしたろうと推測します。病を持ち、物理的には制限されても、心は制限される必要はないのですよね。今日は雨音を聞きながら、3D化されたオルソンハウスを見ていました。Farnsworth Art Museum
https://www.farnsworthmuseum.org/visit/historic-homes/olson-house/