石見神楽・夢の共演会、観に行きました!

2019年12月22日 石見神楽・夢の豪華共演会
2019年12月22日 石見神楽・夢の豪華共演会

昨日12月22日(日)に熊野九十九王子のひとつ・切目王子跡(現・切目神社)のある和歌山県印南町で開催された「石見神楽・夢の豪華共演会」を観に行きました!

6年ぶり4回目の印南町での石見神楽公演で、島根県益田市の高津神楽社中と、島根県浜田市の西村神楽社中の共演です。

石見神楽

今回の演目は「羯鼓(かっこ)」「切目(きりめ)」「恵比須」「頼政」「石見野(いわみの)」「大蛇(おろち)」の6つ。

お目当てはもちろん切目王子が舞台の「羯鼓」と「切目」

切目王子は熊野九十九王子のうちで別格的な最も重要視されたであろう神様です。石見に残された切目王子ゆかりの神楽は、熊野山伏かあるいは熊野比丘尼が石見地方に伝えたものなのでしょう。

切目神社(切目王子跡)
切目神社(切目王子跡)

石見神楽は以前別の場所で観たことがありますが、そのときの公演では切目王子ゆかりの演目は演じられず、今回初めて観ることができました。

「羯鼓」と「切目」はひとつながりの演目ですが、今回は「羯鼓」を高津神楽社中が、「切目」を西村神楽社中が演じるという特別バージョン。

大衆演劇的なエンターテイメント色が強い石見神楽ですが、「羯鼓」と「切目」に関しては神事性が強く残っているように感じられました。

石見神楽(浜田市)の「羯鼓」は一人舞で、切目王子に仕え祀る神禰宜(かんなぎ:巫女)が羯鼓の由来を語る。羯鼓は高天原から天下ったもので、片方を打つ時は、天下泰平、国土安穏と鳴り、他の片方を打てば、五穀豊穣、商売繁盛と鳴る。その後、熊野の宮に納まって宝物の太鼓となった。祭礼の神楽なので、最もよく鳴る場所に据えよとの詔があり、散々苦心してようやく据える。切目王子が出現された際にはよく拝まれよと述べる。「切目」では介添が出て「熊野なる切目の王子の竹柏(なぎ)の葉は髪挿(かざし)に挿して御座へ参ろや」「熊野路はものうき旅と思ふらん ちとせの川で思ひ知らせん」と歌う。…

鈴木正崇『熊野と神楽: 聖地の根源的力を求めて 』平凡社(ブックレット“書物をひらく”)、80-81頁

切目王子、興味深い神様です。

「羯鼓」「切目」台本現代語訳