オリンポス遠きギリシャのいにしへの神々の火は海を越え荒野をよぎり

1964年東京オリンピックの開会式で歌われた「オリンピック東京大会讃歌」は熊野出身の文豪・佐藤春夫が作詞したものです。

オリンポス遠きギリシャの
いにしへの神々の火は
海を越え荒野をよぎり
はるばると渡り来て
今ここに燃えにぞ燃ゆる

佐藤春夫作詞「オリンピック東京大会讃歌」

2020年東京オリンピックの聖火到着式では聖火が2度消えるというハプニングがありましたが。

ともあれ聖火リレーが中止になったのはよかったです。あれで新型コロナウィルスが全国に感染拡大していったら堪らないと思っていました。

2020年の東京オリンピックはこれまでもエンブレムとか新国立競技場のデザイン案とか予算の大幅超過とか、暑さ対策のかぶる傘とか、トイレの臭いがする東京湾とか、マラソン競歩の開催地変更とかいろいろありましたが、中止ではなく延期ということであれば、これからもいろいろあるのでしょう。

第1回大会の1896年アテネオリンピック以降、近代オリンピック史上、オリンピックの延期は1度もありませんでした。1940年の東京オリンピックも中止でした。

オリンピック延期は中止よりもはるかに困難があるのだろうと思います。中止にしてほしいというのが正直なところです。

2020年東京オリンピック開催迄あと147日

今日2月28日は東京オリンピック開催まであと147日。

今から32年前の1988年公開の映画「AKIRA」は2019年を舞台とし、そのワンシーンに2020年開催の東京オリンピックまでの残り日数をカウントダウンする看板が出てきます。その看板は「開催迄あと147日」となっていて、「中止だ中止」という落書きが書かれています。

現実の2020年東京オリンピックの開会式は2020年7月24日なので、147日前は2020年2月28日。今日がその日。

前回の1964年の東京オリンピックの開会式では熊野出身の文豪・佐藤春夫が作詞した「オリンピック東京大会讃歌」が歌われました。開会式は10月10日に行われました。

オリンポス遠きギリシャの
いにしへの神々の火は
海を越え荒野(あらの)をよぎり
はるばると渡り来て
今ここに燃えにぞ燃ゆる
青春の命のかぎり
若人(わこうど)ら力つくして
この国の世界の祭

佐藤春夫「オリンピック東京大会讃歌」

2020年の東京オリンピックは、新型コロナウィルスへの日本政府の対応が他国に比べてお粗末なので、もう開催は無理なのではないかと思います。被害を最小限にするためにできるだけ早く自ら決断してほしいと思います。

1940年の東京オリンピックのときも東京は日中戦争のために開催を返上していますので、今回返上すれば2度目の開催返上となります。

本日10月30日は初恋の日

本日10月30日は初恋の日。
島崎藤村の「初恋」という詩が明治29年(1896年)の10月30日に発表されたことに因んで、長野県小諸市の温泉旅館・中棚荘(なかだなそう)が記念日登録しました。島崎藤村は英語教師として小諸で過ごしたときに中棚荘に足繁く通ったそうです。

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

島崎藤村「初恋」

初恋の詩というとこの島崎藤村の「初恋」が最も有名だと思いますが、私は熊野出身の文豪・佐藤春夫の「少年の日」も思い浮かびます。

   1

野ゆき山ゆき海辺ゆき
真ひるの丘べ花を敷き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひは青し空よりも。

   2
影おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を恋ひ
あたたかき真昼の丘べ
花を敷き、あはれ若き日。

   3
君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

   4
君は夜な夜な毛糸編む
銀の編み棒に編む糸は
かぐろなる糸あかき糸
そのラムプ敷き誰(た)がものぞ。

佐藤春夫「少年の日」