野長瀬忠男は近野村近露(現・和歌山県田辺市中辺路町近露)の出身で、「トピー工業株式会社」の創業者の一人。トピー工業株式会社は鉄鋼メーカーで、現在、自動車用のホイールで高い国内シェアを誇っています。
以下、明治44年10月15日付『牟婁新報』に掲載された野長瀬忠男の「神社合祀跡の神木濫伐禁止の急務(下)」より引用。
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然るに我国民自らその神社を破壊し神木を乱伐し尽そうとするのは如何にも愚な行いではあるまいか私は切に望む、前に述べた近露や野中の旧神社のような由緒あり歴史ある古い神社跡及神木等はお宮様のある無しに拘らず、国宝として大切に保存して置きたい、
かの幾百歳であるか、年齢の推測も出来ぬような大樹、後で取返しの出来ぬその土地、その国の紀念物である所の老木古杉をたった千や二千の端金に代えて、伐倒してしまうのは村民としてまた帝国臣民として如何にも愚の極であると思う、かくの如き愚行を敢えてしては、我等の子孫や後世に対しても重々相済まぬ。当局の諸氏もこれに関係する町村の人民諸君も篤と御反省あらん事を切望する、
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明治の末期、野長瀬忠男は近露や野中の神社(跡)が国宝級の価値がある場所であることを確信していました。
その確信の正しさは後に熊野古道が世界遺産になり、そしてまた去年10月に継桜王子跡が「南方曼陀羅の風景地」のひとつとして国の名勝に指定されたことで証明されました。
継桜王子跡