熊野本宮踊(くまのほんぐうおどり)は旧本宮村(現・和歌山県田辺市本宮町本宮)の盆踊り。囃子言葉の「ハイヤーハァ」から「ハイヤーハァ踊り」と呼ばれ、歌詞の内容から 「花の江島」 とも呼ばれる。
江戸時代中期に大奥女中の江島が歌舞伎役者の生島新五郎と密通したと疑いをかけられて処罰された江島生島事件を背景にした歌詞に、 優雅な舞が振り付けられ、盆踊りとなって現代に伝承されたものである。
歌詞は、事件の後に諸国で流行した「江島節」を思わせる部分があり、「江島節」を元にして生み出されたのであろう。太鼓と音頭取りの歌に合わせて、右手に団扇や扇子を持った踊り手がゆっくりと舞い踊る。
江戸時代後期に熊野三山総代を務めた玉置縫殿(たまき ぬい)が浪速から登美という芸者を身請けして当地に住まわせ、彼女から伝えられた舞が盆踊りとして定着したともいわれる。
田辺市指定無形民俗文化財。
「ハイヤーハー踊り」と書かれることも。
江島節
花の江島が ナーヨーイ
江島節(えじまぶし)歌詞 | 民謡歌詞ドットコム
唐糸ならばヨー
たぐり寄しょもの ナーヨーイ
ひざもとにヨー
江島ゆえにか ナーヨーイ
門(かど)には立てどヨー
見せてたもるな ナーヨーイ
面影をヨー
江島どのほど ナーヨーイ
衣装持ちゃないがヨー
浴衣ひとつで ナーヨーイ
門に立つヨー
熊野本宮踊 花の江島口説
花(はーな)ー花(はーな)ーやーはー ハイヤーハ ハイヤーハ
『本宮町史 文化財編 古代中世史料編』
花ー花ーやーはー ハイヤーハ ハイヤーハ
江島(エーコリャコリャ) 江島 ドコドイヨ
唐糸となれとこの なーりて なーりては
ハイーヤハ ハイーヤハ ハイーヤ ヤーハ
たゆーれやー ハイヤイーハアイャーハ
あ たゆーれー やーはイヤイーハアイーハ
あ よしよーもの あーこりゃいハー
サーかみがーハーイヤーこのみが 宿(やど) 宿(やーど)へ ハー
恋の尺八 吹きよがござる 元で口説いて 中緒でしめて
未で忍びの音(ネ)を出しやれ
破れ菅笠 真紅の締緒 さらで着もせず 捨てもせず
さまを持つなら 江島を持ちやれ 江島器量よし 姿よし
花、江島、唐糸、寄しょもの(よしよーもの)と共通の言葉がある。