山姥の髪の毛!

山姥の髪の毛!

こんなに長いのは初めて見ました!

山姥の髪の毛!

その正体はキノコ。キノコの菌糸が束になってひも状になったものです。

山婆の髪の毛と那智の辺で呼ぶ物を予はたびたび見た。水で濡れたときは黒く、乾けば色はやや淡くなって黄褐を帯び、光沢があり、やや堅くなる。長さは21〜24cm、また30cmにも及ぶ。杣人などに聞くと、ずっと長いものもあると言う。予が見たのは木の枝に生え垂れ懸かっていて女の髪のようであった。…

予が那智山中で初めて見たときは奇怪に思ったが、近づいて取って検鏡して、たやすくそれがマラスミウス属の根様体(リゾモルフ)であることを知ったが、その後、植物学会員宇井縫蔵氏が近野村で取って来たのを貰うと、予想通りマラスミウス属の傘状体(ピレウス。俗にいうキノコの傘)がひとつ生じてあった。

南方熊楠「山姥の髪の毛」(口語訳)

私が見たこれは木の枝に生え垂れ下がって、長さは1m以上ありました。

山姥の髪の毛
山姥の髪の毛

昔は神社やお寺などに奉納されて社寺の宝物となることもあったそうです。ありがたいものを見させてもらいました。

山姥の髪の毛がキノコであることを日本で初めて明らかにしたのはたぶん南方熊楠です。「山姥の髪の毛」は『南方熊楠全集 第2巻』や『南方熊楠コレクション 森の思想』に所収。