川廷昌弘さんのご著書『未来をつくる道具 わたしたちのSDGs』を購入しました。
川廷昌弘さんとは2018年から2019年にかけて各地の図書館で開催したセミナー&写真展「ジャパニーズ・エコロジー 南方熊楠ゆかりの地を歩く」でご一緒させていただきました。
川廷さんはSDGsの17ゴールアイコンの日本語版の制作に関わり、国内でのSDGs普及事業などを数多く手がけている日本におけるSDGs普及の第一人者。川廷さんはこのご著書の中で南方熊楠の言葉を引用されています。
彼は自分が住む南紀で、「風景を利用して土地の繁栄を計る工夫をするがよい。追々交通が便利になって見よ。必ずこの風景と空気が第一等の金儲けの種になる」と、100年も前にサステナブルツーリズムを伝えています。
川廷昌弘『未来をつくる道具 わたしたちのSDGs』ナツメ社、7頁
私が川廷さんに初めてお会いしたときにお伝えした熊楠の言葉です。
「熊楠とエコロジー」CEPAジャパンの理事さんたちへのレクチャーのために用意した原稿
まだすべては読んでいないのですが、パラパラとページをめくって読んだ中でいいなと思った箇所がこちら。
忖度や無関心があふれる恥ずかしい社会は終わりにしましょう。そして『きれいごと』で勝負できる社会をつくりましょう。『きれいごと』はこれまで、とりつくろったり、からかったりするときに使われてきましたが、これからは使い方を変えましょう。僕も以前は、勇気がなくて世間に忖度した行動をしていました。しかし、これからは未来のために行動することが『きれいごと』です。…そして未来のため、社会のため、だれかのため、何より自分のために、『きれいごと』で行動していきましょう。
川廷昌弘『未来をつくる道具 わたしたちのSDGs』ナツメ社、196頁
SDGsの基本理念を表す重要なフレーズ「だれひとり取り残さない」。この言葉も『きれいごと』に聞こえるかもしれませんが、でも、それを実現しなければ人類の未来がなくなります。
熊野の神様の重要な教えに「信不信を問わず、浄不浄を嫌わず」というものがありますが、これはSDGsの基本理念と通じるものがあります。
あらゆる人々を無差別に受け入れる聖地が熊野でした。また熊野の神様は正直を尊び、嘘をついた者を罰する神様でした。
「差別するな」「嘘をつくな」。こんな言葉も今は『きれいごと』に聞こえてしまうかもしれませんが、この2つは熊野の神様の重要な教えです。
私は『きれいごと』で行動していきたい。