「嘘をついた悪人がたちどころに血を吐いて死ぬ」

熊野牛王
熊野牛王(くまのごおう)

熊野の神様は、嘘をついた者を罰する神様です。

以下、マルキ・ド・サドを紹介したことでも知られる作家・フランス文学者の澁澤龍彦の短編小説集『ねむり姫』に収録された「夢ちがえ」より。

わざわざ説明するにもおよぶまいが、熊野牛王というのは、熊野三社が発行している一種の護符で、もっぱら起請文を記すのに用いられたが、また中世には、これを焼いた灰を水に混ぜて呑ませると、嘘をついた悪人がたちどころに血を吐いて死ぬとも信じられた。

「夢ちがえ」、澁澤龍彦『ねむり姫―澁澤龍彦コレクション』河出文庫

とくに熊野本宮の主祭神・ケツミコノオオカミをお祭りする第3殿は證誠殿(しょうじょうでん)と呼ばれます。誠であることを証明する神様の建物。

熊野の神様は誠実であることを、正直であることを大切にする神様です。