本日2月29日は二・二六事件が収束した日。
1936年(昭和11年)2月26日、陸軍青年将校らが約1500人の下士官兵を率いて政府首脳を襲撃。首相官邸、警視庁、内務大臣官邸、陸軍省などを占拠し、永田町周辺を封鎖。斎藤実内相、高橋是清蔵相、渡辺錠太郎陸軍教育総監らを殺害。28日、政府は彼らを反乱部隊として陸軍に武力鎮圧を命令。陸軍は反乱部隊を包囲。29日、下士官兵は原隊復帰勧告に応じ、青年将校らは逮捕され、事件は収束しました。
先日も書きましたが、2月26日に殺害された斎藤実内相(第30代内閣総理大臣)と高橋是清蔵相(第20代内閣総理大臣)は南方熊楠と面識のあった人物。海軍軍人であった斎藤実とはロンドン時代に出会っており、高橋是清は共立学校(現・開成高校)時代の英語の先生でした。
戦国武将の名を名乗るSF作家・柴田勝家氏による南方熊楠を主人公にした伝奇小説『ヒト夜の永い夢』で、熊楠は2人が殺害された現場の夢を見ます。
「高橋先生」
「僕は死んだな。ああ、死んだ」
「悲しいことです」
「悲しいが、これも天命だ。不思議なのは、死の際になってナンポウ君が会いに来てくれたことだ。君も死んだか」……
「殺すなら自分を殺せと、私を庇ってくれたのです」
柴田勝家『ヒト夜の永い夢』ハヤカワ文庫、483-485頁
「良い妻だな、斉藤さん」
「ええ、あのような女性と出会えて本当に良かった」
「ロンドンでの一件は、あの細君あってこそだな」
「いやはや、あの時は愉快でしたな」
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