村井章介 監修、海津一朗 ・稲生淳 編著『世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座』を購入しました。
この本は、和歌山県民が読めば胸が熱くなるような1冊です。
和歌山県内には存続が危ぶまれる市町村もありますが、今後も人が暮らしていける地域であり続けるためには何よりも地域住民の地域への誇りが必要です。多くの和歌山県民にこの本を読んでいただきたいと願います。和歌山県民の一家に一冊は置いておきたいオススメ本です。
和泉の国のかなたには、国をあげて悪魔に対する崇拝と信心に専念している紀伊の国なる別の一国が続いている。そこには一種の宗教団体が四つ五つあり、そのおのおのが大いなる共和国的存在で、いかなる戦争によってもこの信仰を滅ぼすことができなかったのみか、ますます大勢の巡礼が絶えずその地に参詣していた(『完訳フロイス日本史』四より)。
村井章介 監修、海津一朗 ・稲生淳 編著『世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座』ミネルヴァ書房、105-107頁、第9章、海津一朗「異国人の見た大航海時代の紀州倭寇」
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日本の史料には、戦国時代の紀伊半島に「紀州惣国」という国家組織があり、一揆(団結)して自立していたと書かれる。……これこそ、世界史的に見れば「宗教共和国」だったわけである。……
アジアの一角、日本列島には、ヘルシャフト(タテ関係主従制秩序)の織豊統一権力と、ゲノッセンシャフト(ヨコ連合秩序)の紀州共和制と、二つの異質な国家が対立しつつも共存していたのである。フロイスの目はそれをしっかり見抜いていた。
織豊統一権力対紀州共和制の戦争なんて、「スターウォーズ」で言えば帝国軍対共和国軍です。紀州の宗教共和国連合を全国の民衆が信者として支えていました。映画やドラマにするなら紀州共和制側を主役にした方が今的にはカッコいいです。紀州共和制は残念ながら豊臣秀吉により滅ぼされてしまい、映画やドラマでも織田信長や豊臣秀吉が主役のものが多いですが。
2022年から高校では「歴史総合」という新科目が必修となります。近現代史を日本史と世界史を融合して学ぶ科目です。
日本史と世界史の総合とは、言うは易くして至難の課題に思える。だが、紀伊半島のように、地域の中の素材から世界史を学ぶことのできる所こそ、日本史と世界史の架け橋に他ならない。日本の変革期は紀伊半島から始まる。世界史につながる日本史は、紀伊半島でならば学べる、紀伊半島でしか学べない、と言えるかもしれない。
村井章介 監修、海津一朗 ・稲生淳 編著『世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座』ミネルヴァ書房、9頁 序章、海津一朗「なぜ 紀伊半島から世界史を考えるか」
太平洋に突き出た日本最大の半島である紀伊半島は前近代から世界と日本とをつなげてきた地域であり、今後、日本人は紀州の存在の大きさを歴史学習の中で知ることになるでしょう。