9月19日は苗字の日。1870(明治3)年9月19日、太政官布告により一般市民も苗字を持つことが許されました。
現在日本で2番目に多い名字は鈴木ですが、その始まりは熊野にあります。熊野本宮または新宮の神職に関わる家柄にあった人物が鈴木を名乗ってから始まった名字です。鈴木氏は12世紀頃に熊野から紀州藤白に移り住み、熊野詣の道中における要所・藤白王子(現・藤白神社、和歌山県海南市)の神職を代々世襲しました。藤白の鈴木氏は全国に散らばる鈴木氏の本家筋とみなされました。
スズキは熊野地方の方言です。刈取った稲束を積み上げたものを熊野ではスズキ(あるいはススキ)と言いました。または積み上げた稲束の中央に立てられる1本の木の棒を「聖なる木」という意味でスズキ(ススキ)と言ったともされます。鈴木の漢字はその当て字です。
もともと熊野地方の方言であった言葉が現在日本で2番目に多い名字になっているという現実は、かつての熊野信仰の影響力の大きさを今に示してくれています。
藤白の鈴木氏が主人公の能があります。能「鈴木」。「語鈴木(かたりすずき)」「重家」などとも呼ばれ、室町時代後期には成立していた能ですが、江戸時代中期には上演されなくなったようで、現在では廃曲となっていました。
主人公の鈴木三郎重家は平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての人物で、藤白鈴木氏の当主。源義経に従い、源平合戦に活躍し、奥州平泉で義経と最期を共にしました。
長らく廃曲となっていた能「鈴木」は観世流能楽師の鈴木啓吾さんにより昨年2018年3月に復曲能「鈴木三郎重家」としておよそ300年ぶりに上演されました。
そしてその再演が今年2019年11月24日(日)、東京・新宿区神楽坂の矢来能楽堂にて行われます!
第21回一乃会
2019年11月24日(日)15時
矢来能楽堂
解説:小林健二
仕舞『屋島』 観世喜之
仕舞『橋弁慶』 観世喜正・観世和歌
狂言『成上り』 野村萬斎
復曲能『鈴木三郎重家』 鈴木啓吾
チケットはこちらから。
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