編集工房レイヴンの原章(はら あきら)さまから花祭についての文章をご寄稿いただき、花祭熊野公演のチラシに掲載させていただきました。素敵な文章です。
花祭、熊野に帰る
月の花祭は一度体験すると一生忘れることはできない。
夕方から始まり、明くる日の夕方まで祈禱や奉納の舞が延々と続く。帰路、頭の中では「てーほへ、てほへ」というかけ声がエンドレスで流れ、目をつむると巨大な頭の榊鬼や山見鬼の姿、クライマックス「湯ばやし」のエクスタシーとも言える情景が現出する。
花祭は湯立神楽の一種とされる。釜で湯を沸かし、その湯を神霊に捧げ、その湯で場や集う人々を清める。神楽人は病気平癒や家内安全、極楽往生など人々の願いを成就させようと祈禱をし、舞を舞う。
その昔、熊野詣での人々は王子や本宮・新宮・那智で湯立を行って祈願し、神楽が舞われた。民俗学者の鈴木正崇氏によると、熊野信仰の中核には多義性に満ちた湯の信仰があり、修験者によって熊野の湯の信仰が全国各地に伝播したという。その大きな結実のひとつが花祭だ。
熊野から伝わった湯立神楽が、数百年後、熊野の大斎原に里帰りする。斎(ゆ)は湯に通じている。
<文:編集工房レイヴン 原 章>
編集工房レイヴンの原章さまのこれまでの編集のお仕事。
●単行本
龍村仁『地球のささやき』、
佐藤初女・宮迫千鶴『森のイスキアで話したこと』、帯津良一『養生という生き方』、龍村修『生き方としてのヨガ』、鎌田東二編著『謎のサルタヒコ』、同『平 安京のコスモロジー』、同『日本の聖地文化』、竹内正実『テルミン』、海野弘『モダン・シティふたたび』、山形政昭『ヴォーリズ建築の100年』、今中博 之『観点変更――なぜ、アトリエ インカーブは生まれたか』、龍村光峯『錦――光を織る』、浄土宗監修『ともいきがたり』、『近江八幡教会百年史』、上田篤他『なつかしき未来「大阪万 博」』、橋爪紳也監修『写真集飛田百番』、『平野区誌』など200点余りの本を企画・編集。●雑誌
別冊太陽『お神楽』『熊野』『出雲』『飛鳥』、
京都大学こころの未来研究センター学術広報誌『こころの未来』、
『モノ学・感覚価値研究』『身心変容技法研究』など雑誌スタイルの科研報告書。
http://netswest.org/members/editor/hara_akira
別冊太陽の『熊野』はとてもよい熊野本ですが、これも原さんが編集された本だったのですね。
熊野から奥三河に伝わった湯立神事が数百年の時を経て、今年12月8日、熊野に里帰りします。その歴史的な瞬間にぜひ立ち会ってください。
花祭熊野公演チラシの印刷用のPDFデータを公開しています。
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