今年1月にfacebookに書いた文章ですが、メモ代わりにこちらにも。
先日(1月16日)、熊野古道「大辺路(おおへち)」についての意見交換会に参加させていただきました。
http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=308296
熊野地方の未来にとって、大辺路の活用が重要な鍵となります。
私は熊野を世界的な観光地・世界的な聖地にしたいと考えていますが、それは熊野三山だけが世界的な聖地になればいいということではなく、熊野全体を世界的な聖地にしたいということです。
熊野三山だけが熊野ではありません。
かつての熊野は浄土信仰で人々を惹き付けてきました。そこに行けば極楽往生が約束されると。
しかし今、浄土信仰だけで大勢の人々を惹き付けることができるとは思えません。
「蟻の熊野詣」を再び起こすには、熊野の側も変化していくことが必要です。
いま世界に求められていること。
それは自然との共生と、異なる宗教・異なる文化の共生ということではないかと思います。
熊野信仰の土台の部分には自然崇拝があり、また神道と仏教という異なる宗教を共存させることによって熊野信仰は盛んになりました。
明治政府の神仏分離や神社合祀の政策によりそれらは破壊されましたが、それでもそれらの痕跡は熊野の各地に残されています。
自然崇拝の痕跡、神仏習合の痕跡は、熊野三山よりもむしろ熊野各地にある無社殿神社や社寺でより強く感じることができます。
自然との共生と、異なる宗教・異なる文化の共生というメッセージを世界に伝えるには、熊野三山だけでは弱く、熊野各地にある今は世界的には名も知られていないような小さな聖地の力が必要だと私は考えます。
熊野各地にある小さな聖地を訪れてもらうためには、熊野古道「大辺路」を田辺から那智・新宮まで通して歩けるようにすることが、大きなきっかけ作りとなります。
いまブツブツに途切れた状態の熊野古道「大辺路」を、田辺から那智・新宮まで通して歩けるようにすること。外国からの方でも歩けるようにすること。
熊野地方の未来は、熊野古道「大辺路」を充分に活かすことができるかどうかによって、変わっていくように私は思います。