千代田区立日比谷図書文化館にて5月22日(火)から開催される「ジャパニーズ・エコロジー 南方熊楠ゆかりの地を歩く」の写真展・ポスター展、6月14日(木)開催のシンポジウムに向けて、こちらのブログでは順次、熊楠ゆかりの場所を紹介していきます。
まず第1回目は、和歌山県白浜町にある熊野三所神社。熊楠が白浜滞在時によく訪れた場所です。
この田辺湾は斉明天皇の御行幸ありし地にて、おぼろげながらその御故跡少なからず。現に瀬戸鉛山連合村の村社は実に見事な社殿とその後ろの神森の山あるなり。オガタマの木多し。この山は希珍の菌茸多く生ず。……とにかく近海を航するもののはなはだつつしみ崇めし宮なり。山を御船山と申す。
(白井光太郎宛書簡、昭和五年三月十九日付『南方熊楠全集9』平凡社、521頁)
先月末に訪れたときには樹冠をアゲハチョウが飛んでいました。よく見えませんでしたが、たぶん幼虫がオガタマノキを食べるミカドアゲハ。
リゾートビーチの横にこれだけの森が残されているのはすごいことだと思います。
田辺湾の神島と、白浜の熊野三所神社の森は、魚つき林のいい森です。三所神社は観光地の白良浜のすぐ端っこにありながら、あれだけの森が残っているとは……。前に千葉大学の沼田真先生が来られたときに、三所神社に連れていって森を見てもらったのです。「紀州にまだこんな森が残ってるんだ。すごい。千葉県にこんな森があったら、確実に国の天然記念物にして保全しているだろう」と言われました。
(後藤伸・中瀬喜陽・玉井済夫『熊楠の森―神島』農文協、22頁)
番所山から望む熊野三所神社。
写真展・ポスター展の写真は、CEPAジャパン代表で公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員の川廷昌弘さんが撮影したもの。私が現地のご案内をしました。
このブログに掲載している写真は私が撮影したものです。