第26回南方熊楠賞受賞の中沢新一先生がインタビュー記事のなかで「名取ノ老女」について触れています。
http://www.ntj.jac.go.jp/nou/27/natorinoroujo/topics07_02.html
僕はこの「名取ノ老女」は、遊女じゃないかと思うんです。あの人は熊野詣でにしょっちゅう行ってるでしょう。どうやって行ったかというと、船以外には考えられない。東北から熊野まで相当な距離ですが、室町時代の軽さで結構自由に移動するようになる。名取に住まいしていた老女も、船に乗って熊野へ行く。海の世界、海民が、熊野と東北までも繋ぎます。「名取ノ老女」は毎年熊野に行って、途中の港にいる顧客相手に商売し、ポケットマネーを持って熊野に行く。そういう熊野詣でをしていた遊女はたくさんいて、音阿弥もきっと、そういう背景でこの曲を書いていると思うのです。このおばあさん、すごく自由な人だったと思います。財産家でお金を持っている、道中では仕事もこなす。だから旅行なんかは平気です。
「名取ノ老女」は、明治以降廃曲となり、先日、東京・国立能楽堂で復活上演された能。
名取熊野三山が舞台として登場する能です。
熊野でもぜひ上演していただけたらな〜。