田中神社のオカフジ、咲いています

南方熊楠と氏子たちの抵抗により守られた田中神社の森。

その森にいまオカフジが咲いています。オカフジの標準和名は牧野富太郎によって命名されたヤマフジ。

過日御将来の紫藤は、小生自ら色々取調べたるところ、間違いもなくキフジ、オカフジと本草図譜巻二十九に出おるものに候。丁度大字岡に産する故オカフジという名が宜しき様に思うも、牧野博士はこれにヤマフジと名を付けあり、小生は既に古くよりキフジ、又オカフジなる名称があるに、昨今ヤマフジと命名するは、如何と存じ候。(こればかりがどこの山にも生ずるに非ず、他所は知らず、紀州には山に生ずるフジは多くは例の穂が長きものなればなり) この事一度牧野博士へ問い合わすべきも、とにかく小生はオカフジという古い名がよいと存じ候。

樫山嘉一宛南方熊楠書簡、昭和6年10月18日付『改訂 南方熊楠書簡集』紀南文化財研究会)

牧野富太郎はヤマフジと命名したが、江戸時代後期刊行の日本最初の植物図鑑『本草図譜』にはオカフジとあり、自生地の地名も岡なのでオカフジがよかろう、と南方熊楠は述べています。

田中神社の森は戦後、その価値を認められ、昭和31年(1956年)に和歌山県の天然記念物に第一号として指定されました。藤の花の咲く5月上旬ころには、その優雅な姿を今も見せてくれます。

岡の田中神社をツブしちゃ困る—南方先生の談話—(原文)

2022年の熊野本宮大社例大祭・本宮祭

熊野本宮大社例大祭・本宮祭

熊野本宮大社例大祭・本宮祭(ほんぐうまつり)、昨日撤収作業を終えました。無事にお祭りを斎行できてほっとしています。

本宮祭には八撥(やさばき)神事、御田植(おたうえ)神事、大和舞奉奏、巫女舞奉奏と子供が主役の祭儀が多く、コロナ禍で子供の参加が難しく通常の祭礼ができずにいます。

2〜3歳くらいの男子たちが主役である八撥神事、小学校低学年の男女の子供たちによる御田植神事、小学5年生から中学1年生の男子たちによる大和舞奉奏、同じく女子たちによる巫女舞奉奏。一昨年は子供が参加する祭儀が何ひとつできませんでした。

昨年から八撥神事は参加人数を少なくすることで実施し、大和舞、巫女舞の奉奏は成人の男女が子供たちに代わって行うことで実施しました。

今年はさらに御田植神事を成人の女性が行うことで実施できました。本宮祭最終日4月15日に行う祭礼は御田祭(おんださい)と呼ばれ、その中核となる祭儀が御田植神事です。

通常とは異なる形ではありますが、コロナ禍のなか御田植神事を初めて斎行できたことを嬉しく思います。

神輿渡御などまだできないこともあり、また反省点もあるのですが、多くの方々のご協力でよいお祭りができたと思います。ありがとうございます。

熊野本宮大社の公式のYouTubeチャンネルではライブ配信が行われました。こちらの動画ではちょこちょこ私も映っています。どうぞご覧くださいませ。