先日テレビで『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を見ました。
弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です。
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
煉獄杏寿郎の母が杏寿郎に諭して言った言葉が記憶に残っています。
この言葉を聞いて、中世の口承文芸「説経」の最大長編「小栗判官」を思い浮かべました。
常陸国(茨城県)の武士・小栗判官が毒を盛られて、目が見えない、耳も聞こえない、口もきけない、歩けもしない体になります。そのような弱き人となった小栗が熊野に来て治癒の奇跡を与えられるというのが「小栗判官」の物語です。
歩けない小栗が熊野まで来ることができたのは熊野街道沿いの人々や熊野を詣でる人々の助けがあったからです。
弱き人は助けなければならないという思いが途切れることなく関東から熊野まで繋がったから小栗は熊野まで来れたのです。
「小栗判官」の物語は人気を博し、熊野への街道が小栗街道と呼ばれるようになりました。
現在の日本では弱き人は助けなくてもよいと考える人々もかなりいるのかもしれませんが、弱き人は助けなければならないと考える人々が大勢いたから「小栗判官」の物語は成立したのです。
弱き人は助けなければならない。これは「小栗判官」が伝えるメッセージのひとつです。