蹴鞠の達人・藤原成通の伝説へのチャレンジ

9月29日放送のTBSテレビの「伝説の日本人を超えろ サムライチャレンジ」で、蹴鞠の達人で大の熊野信者でもあった藤原成通(ふじわらのなりみち)の伝説にチャレンジしたそうです。

① 藤原成通(ふじわらのなりみち)
平安時代の公卿・藤原成通は、京都・清水寺の欄干の上を蹴鞠をしながら往復したという伝説を持つ。この伝説にチャンレジするのは、現役サッカー選手の横浜FC ・松井大輔、国民栄誉賞を受賞した女子サッカー選手・大野忍、フリースタイルフットボーラー・徳田耕太郎、さらには全国から集まった天才キッズ、そして元サッカー日本代表・武田修宏。
幅13cm、全長およそ23mの欄干の端から端までリフティングをしながら進み、なおかつ折り返すことができるのか? 誰もが苦戦する中、とんでもないサムライが登場する!

http://www.tbs.co.jp/program/samuraichallenge_20190929.html

残念ながら番組は見れませんでしたが、小学生がチャレンジを達成したらしいです。

藤原成通の蹴鞠伝説は鎌倉時代の説話集『古今著聞集』に収められています。

 また、父の卿(藤原宗通)に従って清水寺に参籠なさっていたとき、舞台の高欄を沓を履いて渡りながら鞠を蹴ろうと思いついて、西から東へ蹴鞠して渡った。また立ち返り、西へ帰られたので、見る者の目を驚かし、色を失わせた。民部卿がお聞きになって、「そのようなことをする者があるか」と言って、籠りの期間の途中で追い出して、1ヶ月ほどは家にも寄せつけられなかったそうである。

「侍従大納言成通の鞠は凡夫の業に非ざる事」『古今著聞集』 現代語訳

藤原成通の伝説は清水寺の清水の舞台の欄干の上を蹴鞠をしながら一往復したというものですので、地上から欄干の上までだと高さ13mくらいでしょうか。その高さで藤原成通の伝説にチャレンジできる人はなかなかいないでしょうね。

藤原成通の熊野詣での回数は50回以上だと伝えられます。『古今著聞集』には熊野で蹴鞠を奉納したことも記されています。

 また、熊野(本宮)を詣でて、うしろ拝(後ろ向きに拝礼すること)の後、うしろ鞠(後ろ向きに蹴鞠をすること)を蹴られたところ、西より100度・東より100度の2回、合わせて200回上げて落とさなかった。
 鞠を伏し拝んで、その夜、西の御前(本宮第一殿。本地仏は千手観音)にお参りしたときの夢に、別当や常住のみな見知った者どもがこの鞠を興じてほめあっていたが、別当が「どうしてこれほどの美技に対して褒美の品を与えないことがあろう」と言って、ナギの葉を一枝、奉った、という夢を見た。
 夢から覚めて見ると、ほんとうにナギの葉が手のなかにあった。そのナギの葉をお守り袋に籠めて持たれていた。

「侍従大納言成通の鞠は凡夫の業に非ざる事」『古今著聞集』 現代語訳

藤原成通の尋常ならざる蹴鞠の技は熊野信仰に支えられていました。

藤原成通の蹴鞠伝説はとても面白いです。「侍従大納言成通の鞠は凡夫の業に非ざる事」は全文現代語訳して公開していますので、ぜひお読みください。

蹴鞠の達人・藤原成通:熊野の説話

南方熊楠顕彰会機関誌『熊楠ワークス』最新刊に柴田勝家著『ヒト夜の永い夢』の書評が!

南方熊楠顕彰会会員を対象に年2回発行される機関誌『熊楠ワークス』が届きました。

巽孝之氏(慶應大学文学部教授)による柴田勝家著『ヒト夜の永い夢』の書評があったので、まず最初にそれを読みました。

ここに、21世紀文学が大きな一歩を踏み出したことを、私はいささかも疑わない。

『熊楠ワークス』No.54

すごい評価です!!

戦国武将の名を名乗るSF作家・柴田勝家氏による南方熊楠を主人公にした伝奇小説、『ヒト夜の永い夢』。

佐藤春夫や植芝盛平も登場します。熊楠と植芝盛平は田辺市名誉市民、佐藤春夫は新宮市名誉市民。他に孫文や福来友吉、江戸川乱歩、北一輝、宮沢賢治、石原莞爾などが登場。

熊楠が好きならぜひお読みください! おすすめです!