奥三河の花祭の最高神、切目王子と見目王子

奥三河の花祭で最も重要な神として祀られるのが切目王子(きるめおうじ)と見目王子(みるめおうじ)。

熊野九十九王子のうちの切目(きりめ)王子が奥三河で読み方を変えて「きるめ王子」となったのだと思われます。みるめ王子は熊野九十九王子のうちに相当するものがなさそうなので、きるめ王子と対になる神様として奥三河で独自に出現した神様なのでしょう。

11月24日(土)に明治神宮参集殿で開催の熊野本宮大社御創建2050年記念シンポジウム「聖地熊野の神髄を抉る」で基調講演の講師を務められる文化人類学者の鈴木正崇先生(慶応義塾大学名誉教授、日本山岳修験学会会長)のご著書より。

花祭の最高神は「切目(きるめ)王子」と「見目(みるめ)王子」で、修験者の霊ともいう。熊野の王子信仰を読み替えて守護霊に転化したもので、悪霊を「切る」、不可視のものを「見る」能力を持つ神霊である。これらを守護霊に背負うことで、悪霊に打ち勝ち、霊界・他界を見通す「目」を養う能力を駆使する力を持つと信じられた。修験の霊能を凝縮したような神霊である。
(鈴木正崇『熊野と神楽 聖地の根源的力を求めて』42頁、平凡社)

和歌山県印南町にある切目山は熊野権現が一時鎮座したとされる土地で、そこに祀られる切目王子は熊野九十九王子のうちで最も重要視された神様であったろうと思われます。そのような神様が奥三河の花祭でも最も重要な神様とされました。

熊野から奥三河に伝わった湯立神事が数百年の時を経て、12月8日(土)、熊野に里帰りします。その歴史的な瞬間にぜひ立ち会ってください。詳しくは↓

花祭熊野公演チラシの印刷用のPDFデータを公開しています。
ダウンロードしてプリントアウトしてご利用ください。お店などに貼って宣伝にご協力していただけたら助かります。写真を撮るなどして、TwitterやInstagramでハッシュタグ「#熊野花祭」をつけてご投稿いただけたら嬉しいです。

できるだけ多くの方々に来ていただきたいので、ご協力よろしくお願い申し上げます。

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花狂い

「花狂い」ということばがある。愛知県北設楽郡一帯に伝わる花祭に、身も心ものめり込んでしまった人のことである。冬が近づくと花祭の囃しである、「テーホヘ テホヘ」の独特のリズムと響きが耳に浮かんで離れなくなるのだ。
花祭は霜月の頃に行われる独特の湯立て神楽で、太陽の力が衰えるこの時期に、生命と大地の再生を祈念して行われ神事である。大きな釜に湯を沸かし、神々を招き舞いを奉納し、神とともに新たに生まれ清まるのである。
(内藤久義「花を継ぐもの―― アチックミューゼアムから花祭の未来へ ――」
http://klibredb.lib.kanagawa-u.ac.jp/dspace/handle/10487/11897

熊野花祭を実現するために集まった有志「熊野でテホヘ実行委員会」にも花狂いがいます。
これまでに20年ほど花祭に通っている彼女の熱意により花祭熊野公演が今年12月8日(土)に熊野本宮大社旧社地にて実現することとなりました。

熊野から奥三河に伝わった湯立神事が数百年の時を経て熊野に里帰りします。その歴史的な瞬間にぜひ立ち会ってください。詳しくは↓

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奥三河の花祭と渋沢敬三

熊野信仰が成立に関わる神事芸能、奥三河の花祭。
奥三河の花祭に魅了されて通う者を「花狂い」と呼びますが、その1人に渋沢敬三がいました。

渋沢敬三は日本銀行総裁や大蔵大臣などを務めた人物。民俗学者でもあり、南方熊楠没後の顕彰事業も行いました。

昭和4年(1929年)の正月、渋沢敬三は初めて奥三河を訪れて花祭を見学しました。
昭和5年、正月に見学。さらに4月13日には東京三田綱町の自邸で東京で初めての花祭の公演を行いました。
昭和6年、正月に見学。
昭和8年、正月に見学。
昭和9年、正月に見学。
昭和10年、正月に見学。
昭和24年、正月に見学。これが最後の奥三河訪問となりました。
鈴木正崇「澁澤民間学」の生成 -澁澤敬三と奥三河-」を参考)

上の動画は愛知県東栄町奈根中在家(なかんぜき)の花祭の模様。
渋沢敬三が自邸での花祭公演のために招いたのが中在家地区の人々でした。

今年12月8日、熊野本宮大社旧社地で花祭を公演してくださるのは愛知県東栄町月の月花祭保存会のみなさま。

熊野から奥三河に伝わった湯立神事が数百年の時を経て、今年12月8日、熊野に里帰りします。その歴史的な瞬間にぜひ立ち会ってください。詳しくは↓

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