『外道クライマー』第1章を読んで、気になること2点

外道クライマー

宮城公博氏の『外道クライマー』、第1章「逮捕!日本一の直瀑・那智の滝」だけをとりあえず読みました。

紀伊半島豪雨災害後初めての那智の扇祭の翌日に那智の滝の岩壁を登った3人のうちの1人が書いた本。

読ませる文章ですし、面白いです。amazonなどのレビューで評価が高いのも頷けます。

しかしながら犯罪の加害者が犯罪のことを文章にして公表するには被害者への配慮を十分にしていただきたいと思います。

気になることがとりあえず2点あります。

宮司が生涯を捧げてきた那智の滝・地元新宮市の情熱の前では(22頁)

地元新宮市?

私たちが登った日が那智大社の火祭りの日で、それが二〇一一年に紀伊半島を襲った大水害からの復興のシンボル的イベントだったことを事件後に初めて知った。(23頁)

宮城氏たちが逮捕されたのは熊野那智大社例大祭の扇祭(那智の火祭り)の翌日だったはずでは?
当時の新聞では7月15日に逮捕と報じられていますが、那智の扇祭は7月14日に斎行されます。

この2点なんて地元の人に読んでもらったらすぐに間違いを指摘してもらえるはずですが、この本の出版に当たって熊野那智大社にこのような本を出版しますと伝えていなかったのでしょうか?

ちょっとしたことかもしれませんが、被害者の立場からするとそれらの言葉に一々いらだちを覚えます。

那智の滝があり、熊野那智大社がある那智勝浦町に触れずに地元新宮市としたのはどういうことなのか。

扇祭の日に登ったとしたのは、そうしたほうがより那智の神様を冒瀆することになって面白いと宮城氏は考えたのだろうか。

こうしたところで被害者への配慮が足らないので、「もとより私たちは神を冒瀆しようなどという意図はなかった(23頁)」と書いていても、地域の暮らしや信仰を傷つけられた被害者の立場からしてみれば、まったく信用できないと思ってしまいます。

今後さらに版を重ねることがあるとしたら明らかな間違いは訂正してもらいたいと思うので、発行所の集英社インターナショナルに意見を送るつもりでいますが、『外道クライマー』を読んで他に何か気になる点がありましたら教えてください。

熊野那智大社の氏子さんが読んだらもっと他に気になる点が出てくるかもしれませんし、熊野本宮大社の氏子である私よりも那智大社の氏子さんが意見を送ったほうがより効果があるかもしれませんが。

丹敷戸畔(にしきとべ)の墓に供えられているのはアイヌの祭具イナウ?

丹敷戸畔の墓

先日、丹敷戸畔(にしきとべ)の墓にお参りしました。

丹敷戸畔は熊野の土豪の女酋長だといわれる人物。その墓だと伝えられる石塔が和歌山県串本町二色にあります。

丹敷戸畔の墓

その石塔の傍らにはアイヌの祭具であるイナウらしきものが供えられていました。

アイヌの方のなかには熊野に親しみを抱いてくれている方々がいらっしゃるようなので、ここにもアイヌの方たちがお参りしてくれたのでしょうか。

2015年1月7日に熊野本宮大社旧社地で行われた、奈良を拠点に活動する芸能ユニット「勾玉天龍座」さんによる朗読音楽劇「八咫烏」の奉納のときには、アイヌの装束を借りるだけのつもりだったのが、アイヌの方たちが「熊野なら行く」ということでわざわざ北海道から来てくださってアイヌの唄と踊りを奉納してくださいました。
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