南方熊楠顕彰館で特別企画展「熊楠と熊野の妖怪」、7月16日から

熊楠と熊野の妖怪

南方熊楠顕彰館で第21回特別企画展「熊楠と熊野の妖怪」、7月16日から開催! 会期は9月11日まで。

◎関連イベント
熊楠をもっと知ろう!シリーズ第35回
シンポジウム「熊楠と熊野の妖怪」
【日時】平成28年8月20日(土)14時~16時(予定)
【会場】南方熊楠顕彰館 1階 学習室
【講演】中島敦司氏(和歌山大学教授)
【展示解説】広川英一郎氏(多摩大学目黒高等学校教員)
伊藤慎吾氏(國學院大學非常勤講師)
飯倉義之氏(國學院大學准教授)
【パネルディスカッション】
※参加費無料(事前申込不要)

http://www.minakata.org/cnts/news/index.cgi?c=i160706

中村天平さんの紀伊半島秘境ツアー2016の初日にお話させていただいたこと

伏拝からの眺め

ニューヨーク在住の作曲家&ピアニスト 中村 天平さんの 紀伊半島秘境ツアー2016の初日6月30日の三里小学校体育館でのコンサートで、地域に伝わるお話をもとに即興演奏をしたいので誰かお話を教えてくださいということになって、私が引っ張り出されてお話ししました。

まったく話をする準備なんてしていなかったので、うまく話せませんでしたが、次のようなことをお話させていただきました。

伏拝の和泉式部のお話でいいですかね。
この上、川向かいの上に伏拝という所があります。伏して拝む。熊野本宮大社の旧社地がそこから見えて、伏して拝むことができます。

和泉式部という平安時代の女流歌人が熊野詣をして、伏拝まで来たときに生理になりました。当時、流血や出血は不浄なものとされたので、神社への参詣はできません。和泉式部は参詣をあきらめて伏拝に止まりました。その夜の夢に熊野の神様が現われて、かまわないから来い、と。それで和泉式部はそのまま参詣することができたという。そういうお話が伝わります。

これは何気ないお話のように思えますが、じつはすごいんです。

平安時代、国家的に、法律的に不浄なものが規定されていました。血、流血、出血。死、生き死にの死。それから出産。子どもを産むこと。血と死と出産、これらの不浄なことがあったら7日間謹慎しなさいとか30日間謹慎しなさいとか、法律的に決められていた。

だけれども熊野ではそんな法律関係ない。かまわないから来い、と。

伏拝の和泉式部のお話は、熊野は中央とは異なる価値観を持っているのだということを堂々と示しています。

このようなお話をしました。

中央とは異なる価値観を持っていることに熊野の価値があったのだと思います。

伏拝王子、和泉式部

写真は伏拝王子からの眺め。