8月23日に第9回熊野本宮盆踊り大会を開催

熊野本宮盆踊り大会

8月23日に熊野本宮盆踊り大会を開催いたしました。おかげさまでたいへん盛り上がりました。

今回が12年目の、第9回目。一遍上人の命日である8月23日に開催できたのは久しぶりで、より感慨深い回となりました。

一遍上人は鎌倉時代に熊野本宮で悟りを開いたお坊さんです。

一遍上人は熊野本宮に籠り、夢の中で熊野本宮の神様から教えを授かって悟りを開きました。そして、これがきっかけとなって時衆(時宗)という仏教の一派が生まれました。

時衆が行った布教方法の一つに、踊念仏がありました。この踊念仏が盆踊りの原型だといわれます。

一遍上人が踊念仏について詠んだ和歌があります(「一遍上人語録」偈頌和歌 和歌16-17)。

はねばはね踊らばをどれ春駒の のりの道をばしる人ぞしる

(訳:跳ねたければ跳ねよ、踊りたければ踊れ。春の野を跳ね踊る馬のように。わかる人にはわかる。それこそが仏法の道なのだ)

ともはねよかくてもをどれ心ごま 弥陀の御法と聞くぞうれしき

(訳:ともかくも、跳ねよ、踊れよ。阿弥陀のみ教えを聞くのは嬉しいことだ。その嬉しさに心が馬のように跳ね躍る)

熊野本宮なしに時衆はなく、時衆がなければ踊念仏もなく、盆踊りもなかったかもしれません。だから熊野本宮で盆踊り大会を行うのです。

熊野本宮盆踊り大会
熊野本宮盆踊り大会

南方熊楠賞受賞記念講演、ヒトは魚の1種

第35回南方熊楠賞授賞式

先日、南方熊楠賞授賞式に南方熊楠顕彰会事業部委員として参加しました。

第35回となる今回の受賞者は魚類学がご専門で国立科学博物館名誉研究員の松浦啓一先生。

松浦先生の記念講演の中であった、脊椎動物(背骨のある動物)の多くは魚であってヒトも魚の一種であるというお話には感銘を受けました。どう話されていたのか正確には覚えていないので、松浦先生のご著書から引用します。

 顎をもつ魚を含む脊椎動物は顎口(がくこう)動物と呼ばれている。顎口動物には、人類を含む哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、顎をもつ魚類が含まれる。両生類は顎をもつ魚から進化し、さらに爬虫類、鳥類、哺乳類の登場へとつながった。
 魚類以外は4本の足をもつので「四肢類」に分類されている(鳥の羽は前足である)。つまり、進化を考慮に入れると、我々人類を含む四肢動物は魚の子孫ということになり、分類上は魚類の中の一群ということになる。「えっ、人間は魚なの?」と思われるかもしれないが、系統分類学に厳格に従うと、ヒトは魚の1種ということになる。

松浦啓一『したたかな魚たち』角川新書
松浦啓一『したたかな魚たち』角川新書

私はヒトを魚の一種と考えたことはこれまで一度もありませんでしたが、ヒトも魚の一種であるという科学的知見は、ヒトの活動により生物の大量絶滅が進行中である現在、もっと広く知られるべきことだと思いました。

川や海に棲む魚もヒトの仲間だと多くの人々が思えるようになれば、ヒトの活動も変化していくことでしょう。

3月27日、熊野本宮で「巻絹」!

巻絹

3月27日(木)、熊野本宮大社旧社地・大斎原で「巻絹」が奉納されます! 
「巻絹」は、熊野本宮の巫女が主役の能の演目です。本宮の巫女が神憑かりして神の言葉を語ります。

「巻絹」の現代語訳はこちら

「巻絹」で私が好きなのは、巫女が伝える熊野本宮の主神の言葉。

證誠殿は阿弥陀如来。十悪を導き、五逆をあわれむ。

謡曲「巻絹」

熊野本宮の主神の本体は阿弥陀如来である。
熊野本宮の主神は十悪(殺生・偸盗・邪淫・妄語・綺語・悪口・両舌・貪欲・瞋恚・邪見の十種類の悪行)を犯した者を導く。
また、阿弥陀如来が救済から除外するとした五逆(殺父・殺母・殺阿羅漢・破和合僧・出仏身血の五つの大罪)を犯した者さえも憐れむ。
あらゆる人々を熊野は救済するのだ、と熊野本宮の主神は巫女の口を通して宣言します。

3月27日(木)16時〜17時半、熊野本宮大社旧社地・大斎原にて。立ち見での観覧は無料(椅子席は法人・個人の協賛席となります)。雨天時は世界遺産熊野本宮館で。

「巻絹」奉納記念御朱印
「巻絹」奉納記念御朱印

熊野本宮大社で「巻絹」奉納記念の御朱印をいただきました。奉納当日の3月27日までの限定授与品です。1枚500円。